アンブレラ・レイラ

アンブレラ・レイラ 13

そんな具体的な課題に向き合うと、無くしてしまった熱意と集中力が戻ってきたような気がした。この機を逃すわけにはいかない。
溺れかけた人間が浮いた丸太に手を伸ばすように、すぐに観察日記を捲り【考察・東南眼鏡と連絡を取る方法】と書き記し、まず頭の中を整理することから始めた。

・ 大前提として僕は外出することが難しい。だけど、このままではもう嫌だ。どうにかして東南眼鏡と連絡を取らなければならない。

・ この部屋にいながら彼と連絡を取る方法を考えなければならない。電話やメールなどの通信機器を通しての接触はどうだろうか? いや、僕は東南眼鏡の連絡先を知らない

☆結論・通信機器を用いない彼との連絡方法を考えなければならない。

 現状把握が終わると、それを踏まえた上での解決策をノート上で模索し始めた。
……馬鹿馬鹿しいものしか浮かばなくて悲しくなった。
それでもリリオは書き記していった。
情熱を取り戻さなければならないのだ。

【通信機器以外の外部との連絡方法】

・ 候補1 大声。
× 却下。
隣近所にバレてしまう。それに夜は家にお母さんがいるのだ。これ以上お母さんを悲しい気持ちにさせるわけにはいかない。

・ 候補2 鳩電話。
×却下。
鳩など飼っていない。

・ 候補3 糸電話。
×却下。
受話器である紙コップを東南眼鏡に渡すことが出来ない。

リリオの手がピタリと止まった。
それは思考の中断を意味しているわけではなかった。
名案が思い浮かんだのだ。

そうだ、糸だ!

・ 候補4 手紙飛行機。
○採用。
 
そこまで書くと続きを書くよりも先に行動を起こした。
勉強机を後にし、クローゼットに向かい、ひっくり返すように漁り始めた。掘り起こしたものは随分前にねだって買ってもらったリール式の釣竿だ。

釣竿を窓辺に立てかけると、新しいノートを引き出しから取り出し、ページを破って、

「はじめまして。僕は柊タワーハイツに住んでいる小学生です。どうしてもあなたに聞きたいことがあってお手紙を出しました。よろしければこの紙飛行機にお返事を書いていただきませんか?」

と書いた。

なんとかして現状を打破したいリリオは間が抜けた方法だと自覚しながらも祈るような気持ちで紙飛行機を折った。

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