アンブレラ・レイラ

アンブレラ・レイラ 11

それでも学校へ行く準備は続けていたが、いつしかその行動が自分自身に対する言い訳だと気づいてしまった。
学校に行けないと確信しながら、ランドセルに教科書を詰めていると、落胆するよりも先に母親に対して申し訳ない気持ちになった。
大事に育ててくれているのに不登校の子供になってしまったことを謝罪したかった。
実際には謝罪することもできなかった。申し訳なくて顔すら合わせられなくなってしまったのだ。そのことも謝罪したかったが、当然叶わない。

そういえば何かの本で読んだことがあった。不登校というものは現在そう珍しいことでもなく一学年に数人はいるのだと。
だけど、まさか自分がそのうちの一人になっただなんて恥ずかしくて仕方がなかった。何かを考えることが嫌になった。何を考えても惨めな気持ちになる。

日を追うごとに全ての事柄に興味が消え失せていくのがわかった。
毎分、自分がわからなくなっていき、毎秒、自分を嫌いになっていく。
ちょうどその頃だった。
ふと窓から外を見た。
レイラを見かけた。
もちろんレイラのことはそれ以前から知っていた。リリオたち子供にとって傘を集めるおかしな老婆は幽霊や妖怪と同格で扱われるような存在で、知らない子供はもぐりだ。
初めて疑問を持った。

“なぜ、傘を集めているのだろうか?”

不登校に陥る前はレイラの話になっても馬鹿にして笑うことしかなく、疑問など持たなかったはずだったのに、部屋の中はどうなっているのだろう? なんてことまで気になりだしてしまった。
すると、まるで消え失せてしまった興味の対象の全てが一極集中していくように寝ても醒めてもレイラのことが気になってしまった。

……実はどこかでリリオは賭けていた。

この観察結果、もしくはその経過の中でまた自分が学校に通えるようになるきっかけになるのではないかと。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です