小説紹介(裕次郎)

アンダーハーツより愛を込めて 立ち読み 10(最終回)


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ネットショップにだいぶ前に自費で作成した小説を追加しました。

立ち読み1

立ち読み2

立ち読み3

立ち読み4

立ち読み5

立ち読み6

立ち読み7

立ち読み8

立ち読み9

立ち読み10回目です。

立ち読み最終回。
続きはショップから買ってください!!

立ち読み9

人生が戦いであるならば人は武器を持つ。
その武器は、天から与えられたものと、自らの力で得たもの、そして初めから持っているものとの三つに分けられるだろう。一つ目は偶然や奇跡と呼ばれるもの。二つ目は望み努力して手に入れたもの、三つ目は生まれた環境だ。
 中谷さんにはルックスという武器が与えれらたわけだが実はこれは誰しもが持っているものであって、ルックスには環境という要素が必要不可欠なのだ。何が美しいとされるかは時代、国、人によって変わり、結局のところその時代その場での多数決であるのだ。つまり自らのルックスが認められる環境が整っていた、ということが中谷さんの持っている最大の武器であると言える。ルックスと環境はピストルと弾丸みたいなもので二つセットで初めて意味をなす武器なのだ。その強度は、輪ゴムの鉄砲、銀玉鉄砲、エアガン、マシンガン、マグナム、と人それぞれであり、中谷さんは核爆弾クラスだ。それを初めからもっていた、と言える。かなりの確立で戦いに勝利することが出来るだろう。稀にルックスに左右されないという核シェルターを持った相手もいるが、それはごく稀な話なので割愛する。
ともかく中谷さん、あなたは破壊力のドデカい武器を持って生まれてきたのだ。上手に使えばどんな戦いでも勝てる。頑張りなよ。
……ん? オレ何言ってるんだ? 今までオレの頭の中で展開されていた一人討論会の議題の意味が自分でもわからない。なぜオレはこんなことをわざわざ考えているのだろうか?
ガサっとカーテンが開き、中谷さんが早歩きでレジまでやってきた。
「あの私、こう見えて根性あるのでビシバシ教えてくださいね! 絶対途中で投げ出したりしないですから」
 着替えてきた彼女はそういって頭を下げてきた。
 確かにこれだけ強い武器を持っていれば、こんな台詞も出るはずだ。どんな危険な世界だって安心して生き抜けるのだから、こんな風にまっすぐ育つことも可能だろう。持っている人はさらに得ることができ、持っていない者はさらに失うのがこの世の中の形なのだ。
そしてオレにとっての最大の誤算はお辞儀をしたときに服の隙間からチラッとブラジャーが見えてしまったことに他ならない。
意味の通らない破綻した理論を必死に頭の中で展開していた理由に気付いてしまったのだ。
そう、それは浮つかないようにするための心の防衛であったのだ。
無意識のうちにオレは自分を守っていたのだ。オレの核シェルターも中々の高性能のようだ。しかし、ちょっとヤバい。ブラジャーが見えた瞬間にオレの核シェルターが少しだけ開いてしまった。心臓がドキッと動きを止めたのだ。あのときのあの感じだ、これは。初恋だとかそういったあの時の。
……被爆してしまいそうだ。ブラジャーにあんな可愛いレースを始めて付けた人をオレは恨む。いや、もう辛いのは嫌だ。生ぬるい孤独の中で生きていきたいのだオレは。可愛いとかじゃもう揺るがないんだオレは。
そうさ! ブラジャーなんてどこにでも売ってるじゃないか! 決して珍しいものじゃないじゃないか! 核爆弾だとかわけわかんないこと語ったが、実際は、たかだか可愛いだけの小娘でしかないのだ。そう、どこにでもいる高校生がどこにでも売っているブラジャーを付けているだけさ。そんなのに興味を持って浮つけるほどオレの精神は回復していないよ。
「そんな構えなくていいよ。難しい仕事じゃないからさ」
自然に言えた。よし、大丈夫だ。何の問題もない。オレは今日も、明日も、そしてその先も、この生ぬるい孤独の中で相対的に幸せに生きていけるのさ。

【十月二十九日 輝飛さんの日記】

 大切なものを失ってしまう前は遠くで起きる戦争や天災等の映像を見るたびにボクは心が痛んだ。
そこにいる人々の苦痛を想像してしまい苦しくなっていた。
その頃はまだボクの心が正常に機能していたということだろう。
しかし、今のボクは自分の暮らす身近なところ以外での災害の映像なんかを見るとスカッとした気持ちになるのだ。
ボクの心が壊れた証拠だ。
 心が壊れてしまいました。
 心が壊れてしまいました。
 こんなボクは生きていてはいけないのではないでしょうか?
 だけどこのまま消えてしまうなんてゴメンだ。
 これじゃボクだけが苦しいだけじゃないか。
 ボクを受け入れてくれない世界なんて無くなってしまえばいい。
 だけどそんなことが出来るわけない。
 だからボクは壊せそうなものだけ壊そう。
 きっとスカッとするさ。
 ボクはそんな奴なんだ。
 元々そんな奴だったんだ。

【リリィさんからのコメント】

 足跡からたどってきました。輝飛さん、大丈夫ですか? 
きっとあなたは人より純粋すぎるのだと思います。
肩の力を抜いて生きてみてはどうでしょうか?
世の中捨てたもんじゃないかもしれないですよ?
失くしてしまった大切なものが何かは知らないけど、もしかしたら他の大切なものがまた見つかるかもしれないし。
なんて私が言ってもダメかな?

【輝飛さんからのコメント】

 リリィさん。コメントどうもありがとう。
なんだか救われた気がしました。あなたの日記も読みに行っても良いですか?

【リリィさんからのコメント】

 いつでもどうぞ!

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