考察

相模原の事件に対して福祉施設施設長が思うこと (ググる前 2)


世界が少しでもよくなりますように。
利根小次郎です。
これは2017年8月15日に書いた記事になります。
前回の相模原の事件に対して福祉施設施設長が思うこと (ググる前 1)より半月後の記事です。

まずは

体調を思い切り崩し、時間があいてしまいました。
まだ喉が痛い・・・。
さて、前回から間が空いてしまったので少し復習を。

この記事は相模原やまゆり園で起きた事件を福祉施設施設長の立場で考察するという記事になります。
ポイントは僕が一切事件を調べる前の印象であるということです。
後日、ググったり本を読んだりして新たな感想、考察等を述べ、その差異から何かを読み取っていけたらと思います。
障害福祉とメディア、そして障害者というものの世間の印象があぶり出せたらと思っております。

現状のスタンスとしては、酷い事件で心が痛むが、一人のイカれた男(あえて乱暴な表現を使っています)の狂行であり、この事件で現状の障害福祉に対する問題定義をしてよいものか? といったもの。

現状

さて、あの事件後、福祉施設に対して、各都道府県から防犯対策をするようにといったお達しや、それに関わる助成金などのお知らせが届くようになった。
事件が事件だけに、これ以上の対応はできないと思われるので行政対応に問題はないだろうと思っている。
各事業所に任された対応も、通所施設は大きな対策をとってはいないだろうが、助成金で防犯カメラを設置したり、外壁を設置したりと、少なくとも悪くはなってはいないはずだ。
しかし、だからといってそれで今回の事件が防げるとは言い難い。何度も言う通り想定外の事件なため仕方がない部分も多い。そもそも、自立支援法の施行以来、この業界は「施設から地域へ」をスローガンにどの施設も開かれた事業所を目指して日々邁進しているのだ。

このあたりが、今回の記事のキモになっていく。

入所施設について

入所施設の現状についても話しておきたい。現状といっても私が働いていたのはもう数年前の話になるが。
個人的には入所施設で働くことはとても楽しかった。
重度の障害を持った方達との生活は忘れられない楽しい記憶として私の中に残っている。
ただ、50人からの障害を持った方を一カ所に詰め込まれている感は否めなかった。
職員も上の方たちも基本的には皆、施設入所が正解だとは思っていなかったと思う。
実際、一時、この業界から離れていた際に障害を持った方と接点を持つことはなかった。

現実的な問題として、行き場のない障害者は健常者よりも多い。医療的なケアの部分だけでなく、家庭の問題だったりする場合が多い。ポイントは大部分の家庭問題が本人の障害の症状に起因していることではないということだ。
およそ人間とはかけ離れた生活を強いられていた障害者が入所施設でようやくまともな生活が送れるようになったケースもまだまだ多く、この辺りはこの業界の闇の1つだろう。
これはまた別のお話になってしまうので、どこかで改めて書けたらと思う。
おそらく機能不全家族の話になるだろう。

職員の質

職員の質、つまり能力+その人間正だ。
ここはこの事件の大きなファクターになってくる。
薄給で激務であるこの仕事の人材不足の問題はこれからもずっと続く問題だ。
しかしながら、ハローワークに求人を出すと、一定数の応募は必ずある。世の中的には売り手市場になってきているのだろうが、それは俗にいうエリート、勝ち組? といった部類での話である。また、少なくない人数の人が人の役に立つ仕事がしたいと思っているのだとは思う。
しかしながら、ハローワーク経由できた人間を採用することは私に関しては稀である。
現実として、給料が安くても働きたいと思っている人は何かに失敗したり、今までの社会経験が少ない人が多い。
そして、事業所には一から人を育てていく余裕がない。
特に通所施設は規定の人員が少なく、一人の正社員の求められる仕事の種類が多く、あれもこれもできなければならない。
利用者対応などは半ば出来て当たり前のことになってきてしまう。
ここでいう利用者対応は何もその方の障害種別や症状に合わせた専門的な対応の話ではなく、基本的な人と人の接し方の話だ。
そう、それすらもできないような人の応募が多いのだ。
仕事の対象が人間である。職員と利用者であるがやはりそれは人間関係なのだ。

ただ現実問題シフトを埋めなければならない。そうやって太鼓判を押せない人間の採用もしなければならない現実が、植松聖のような人物の採用に至ってしまっただろう。

これは障害福祉の現場に限った話ではないが、一人でも和を乱す人間を採用すると、職場環境は悪くなり、よい人材が流出してしまうこともある。
仕事なんて結局は人で決まる。
それは企業も福祉も変わらない。
この負のスパイラルは、今このときも起きているのだ。
また、結婚を機に福祉の仕事を辞める人間も多い。この仕事が好きだが家族を食わしていけない、という現実問題がある。
給与をアップするには財源が必要になってくる。しかし、そう簡単にはいかない。
高齢者の財源は予防という名目で大幅にカットされ、現在、デイサービスの廃業が顕著だ。少し前までデイサービスの車をよく見たが明らかに減ってしまっている。
よく似た状態が障害福祉の界隈にも起き始めている。
それが「施設から地域へ」のスローガンに隠れた財政難という現実。
これもまた長くなってしまうので別の機会に話すが、もちろん地域移行と企業での障害者雇用は急務であり、これは障害福祉環境改善への道にもなる。
スローガンは正しい。そこで行われていることに問題があるのだ。
私たちもまた意識改革が必要になってくる。

さて話を戻そう。

と思ったが、次回に続きます。

利根小次郎