軟骨ボディピアス

今日、スクーリングの帰りの電車ですごく素適な女の子を見ました。

その娘はお洒落な感じで細くてちっちゃくて目が大きくて、髪型は、なんていうかは知らないけどポニーテールみたいな奴が頭のテッペン近くにあるやつで、黒髪で年はきっとオレより少し下かな、って感じの女の子でした。

彼女とボクは、電車の三角コーナーとでもいうのでしょうか? 自動ドアと椅子の間のよっかかって立てる人気スペースに対面する形で向き合いました。

始めは「ちょっとかわいいなぁ」くらいにしか思わなかったのですが、その子の左耳の軟骨にセンスのいいボディピアスがキラリと輝いて、そのかっこかわいい感じに僕は思わずドキリとしてしまいました。

恥ずかしながら僕は何度か気になってちらちらとその娘を見てしまいました。

誤解されたらアレなんで始めに言っときますけれど、気持ち悪くないです。

だってエロい感じで見てたわけじゃないもの。
純粋に「かわいいなぁ」って思って思わずちら見してしまったのだもの。

まぁ、それでも気持ち悪いと思うのなら結構です。そんな感受性のぬるい人たちはもう知りません。

ともかくボクがちらちら見てしまっているものだから、二三度目があってしまいました。

もう僕はちょっと好きになってしまいました。

幸い彼女の格好はちょっとロックな感じです。

そしてボクの今日の格好はラインストーンでドクロをあしらったカーキ色のサマーニットにドクロのピアス。シャツは背中に般若の刺繍入りの黒のボーリングシャツで、下はダボッとした感じのリーバイスにジョージコックス。

並んで歩いても違和感はなさそうです。

もしかしたら彼女もちょっとお洒落な人ね、なんて思ったかもしれないですよね?

まぁ、それは楽観的過ぎる希望的観測でしょう。

だがしかし、多少なりともボク自身がそう思ったのだから、ボクの中では、それはそれで一つの真実なのです。

これは声をかけるしかない、そう思いました。

だけど人もまばらな電車の中です。そんな静かな電車の中で声を掛けたられたらきっと彼女に嫌な思いをさせてしまうでしょう。

だが心配はいらない。ボクはちょうどスクーリングの帰り道。
筆記用具とノートを持っています。

作戦はこうです。

ノートに

「友達になってくれませんか?   yes or no」

と書いて彼女に見せるのです。

ボクはボールペンをもってイエスとノーにその先端を向けて、彼女の意思を確認するだけです。

もしもイエスならば、そのままカフェかなんかでコーヒーが飲みたいな、と思いました。
絵や音楽や空や月の話がしたいな、と思いました。

そしてもしもノーならばノートに

「了解です。何もしてあげられないけど、あなたの幸せを遠くから祈ってるよ」

と書いて次の駅で降りよう、と思いました。

少しの間でもときめかしてくれてのだから、お返しにボクは彼女に楽しい気分になってもらえたらな、と考えたのです。

我ながら完璧な作戦です。即実行に移そうとボクはカバンの中からノートをとりだそうとしました。

しかし、そのときこんな考えが浮かんでしまったのです。

もしも彼女がイエスを選んでくれたとして、そして彼女がいつの日かボクにとってのかけがえのない存在になったとしよう。

そうなった場合ボクに彼女が守れるのかい? ・・・こんなボクに・・・・。

今働き始めて、平日は働いるし、帰ってきても小説を書いたり、精神保健福祉士の勉強をしたり、土日も夜は飲んだりしてるけれど、昼間はたいがい図書館などで小説の構想をまとめたり書いたり、やはり勉強もしている。

きっと淋しい思いをさせてしまうだろうと思う。

ボクは邪まな気持ちで小説を書いているわけではないから、それを放っておいて彼女とデートなんて月に何度もできないだろうし、今、仕事で接している方々のためにも福祉的な勉強だってたくさんしなければならない。

彼女はどこまで理解してくれるだろうか、いや、きっと彼女なら理解してくれるだろう。
あんな素適な娘なんだ、理解してくれるに決まっている。

だがしかし、理解してくれる、っていうのと、淋しくない、っていうことはやはり別のことだ。

会えない時間は彼女をきっと苦しめる。それに、その間に彼女の無限の可能性をボクの存在で奪ってしまうことにもなるだろう。素適な出会いを見送らなければならないかもしれない。

いつか、それが報われるような形になればいいけれど、そうとも決まっていない。

いや、自信がないわけではないんだ。ただ、確実に100%叶えることが出来るほどボクの夢は容易くはないし、そんなに小さくもないのだ。

不安だ。

不安はそれだけじゃない。

あまり会えないのだから、彼女には一人の時間が増えてしまうだろう。

そのときに彼女が夜道で通り魔等に襲われる危険が迫ってしまったらどうしよう。

自分のことだけでもままならないボクに彼女を守れるだろうか、そして彼女を精一杯愛してあげられるだろうか?

そもそも、こんなボクにかけがえのないものを持つ資格があるのだろうか?
大切なものを、かけがえのないものを守り通す自信のない奴が大切でかけがえのないものを持つ資格はあるのだろうか?

そんな思いが、ボクにノートを取ることを止めさせた。

彼女は昭島で降りていった。
心なしか、その娘が降り際に僕を見た気がした。

その目はこう語りかけてきた。

「・・・・・弱虫」

電車のドアがプシューと音を立ててしまる。
そしてガタンゴトンと何事もなかったように動き出した。(まぁ実際なにもなかったけれど)

動き出した電車の中で夜は窓ガラスを鏡に変えていた。

鏡に映った弱虫男はため息をつく。

ため息はガラスを丸く曇らせた。

そのときだった!!!!

鏡ごしに見えた弱虫男の後ろに、

なんと、

なんと、

なんと!!

超タイプのOLさんがいたのだ!!

ちょっと好きになってしまった。

※以下繰り返し

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